「行ってらっしゃいませ」
私は仕方なくホテルに入れば、そこは煌びやかな広いロビー。
いくつものソファーがあって、その一つにひときわ存在感のある男がいる。
スーツでは無くカジュアルなジャケット姿で新聞を読んでいるだけなのに、人目を引いているって凄いな。英字新聞読んでいるからだろうか。
私は周囲の人達がお洒落な服装であることなど気にせず光生さんの側に行く。
「来たか」
新聞を畳み顔を上げた光生さんを見て驚き、思わず言葉にしていた。
「痩せましたね」
元々シャープな顔立ちだったけれどこれはどう見てもやつれていて、目も輝きが無く曇っているように思える。
本当に仕事が忙しかったんだ。嘘をついているとは思わなかったけれど、ここまでやつれるほど仕事をし続けて大丈夫なのだろうか。
「なんだ、日頃そんなに俺の顔を見つめてたのか」
「はっきり言います、老けましたよ」
ガンッ、という言葉が光生さんの頭上に落ちたのが見えた。
うーん、疲れているところにさすがに言い過ぎたと反省する。遅いけれど。
「良いんですか、そんな状態で食事なんてして」
一人席のソファーで座っている光生さんの横にあるソファーに座れば、光生さんは私を見てから深くため息をついた。



