「で、明日行くの?」
今日は月に一度土曜日の午前中まで授業のある日。
学校が終わって桃と駅前のファストフード店で、例のお坊ちゃまから食事に連行されるけれど行きたくないと愚痴っていたため再度確認された。
「行かないで済むなら行きたくない」
「無理でしょ今までの流れを見ても。そもそも紫央里は押しに弱いし」
「え、私押しに弱い?」
「面倒ごと押しつけられてる点で自覚なさいよ」
桃の容赦ない指摘に悲しい気分になる。
仕方が無いのよ、放っておけないのだから。
「なんで私を呼ぶのかなぁ。そんなに友達いないのかなって可哀想になるよ」
「高校生相手なら気を遣わなくて良いんじゃ無いの?」
私もそうだと思うけれどと返事をする。
「高価な服に食事、普通なら大人の女性でも喜ぶ内容だろうけど、紫央里の場合はそういうことをされてしまえば申し訳ないとか思っちゃう性格なのを利用しているのかもね」
桃の言葉は否定できない。
迷惑なら早く手を切ってしまえば良いだけの話。
それなのにどうしてこうも何だかんだと付き合ってしまうのか。
「紫央里が長女のせいか面倒見良いのはわかるけど、あまり疲れるようなら止めるべきよ。
だって、今は楽しそうに見えないし」
楽しそうに見えない、それが酷く心に刺さった。
確かにテーマパークの時は楽しかった気がするけれど、思い返すとうんざりすることばかり。
なんでこんな苦行に付き合う必要があるのだろう。
どうしてもオモチャにされているという卑屈感がよぎってしまった。
おそらく悪い人では無い、そう思っている自分もいるのに。
「そこまで付き合おうとしてるって事は悪い人じゃ無いんだろうし、放っておけないのもわかるよ。
だけど私達は高校生でそんなに何でも出来るわけじゃ無い。
イイコぶらないで、嫌われるくらいのこともしないとずるずる疲れるだけなのでは?」
イイコぶる、か。
桃の指摘はずっと鋭くて胸が痛い。
結局私は本当の意味で傷つきたくないだけなのだろう。
「そうだね、振り回されてるから仕方ないって思っていたけど、怖がらずに嫌われて良いから縁を切るべきかも。
悪い人じゃ無い、とは思うんだけどね・・・・・・」
段々力なく答えると、桃が気遣ってくれる。
私は申し訳なく思って笑顔を浮かべながら話題を変えた。



