「行かないのか」
「行きます」
男は破けたネクタイをいつの間にか取って、ズボンのポケットに無造作に突っ込んだようだ。
あの生地を使えばなんとかならないだろうかと思いつつ公園を出る。
私が車道側を歩こうとしたら、ぐい、と大きな手で肩を押しのけられムッとすると、男が隣に来た。
それも男は車道側。もしや安全のために気を遣われているのだろうか。
「いつもあんな場所を通っているのか」
急に声をかけられ、いいえ、と答えると、
「子供があんな暗い場所を夜に一人で帰るな。
防犯ブザー鳴らしたって誰も助けに来ないぞ」
「まぁ、そうですよね」
「以後気をつけるように」
まさかの注意二回目。
何となくこの人思ったより悪くない人なのでは?と考えている自分がいる。
そう思いつつも、いくら請求されるのか、学校に何か言われるか、そもそも家の確認と言いながらそのまま親に言うつもりなのかも知れないとぐるぐる最悪のパターンがよぎってしまう。



