12上の御曹司と女子高生は愛を育めない

「嘘つけ、お前の顔にはパレードが見たいと思い切り書いてある。
どこで観るのが良いんだ?とりあえず案内しろ。
大人気と謳う以上、どれくらいのレベルのショーを提供しているのか確認しておく。
但し終わったらすぐに飯だ。食事ができない体調になりそうならすぐに言え」


光生さんが視線を私の顔からパレードの行われるエリアへ向けた。

これから始まるパレードはここの看板アトラクションのようなもので大人気だ。
アテンダントのスタッフさんも是非ご覧下さいと言って、私も前から確かに観たいと思った。
だけれど、光生さんは気分転換だの視察だのと言いながらも私の好きなことを優先してくれている。

鎌をかければ案の定パレードを観ることを勧めてきて今までの気遣いを確信する。
それは、そういうことをされ慣れていない私にとってとてもこそばゆいわけで。


「光生さんの優しさは歪んでますね」


光生さんは思いきりは?と声を出して私を睨む。


「お前が高校生の割に歪んでいるからだろ、未成年らしいピュアな心はいつ捨てたんだ」

「光生さんこそピュアな心、小学校入る前には捨てていそうですね」


ははん、と私が返したところで光生さんの表情が少しだけ変わったのに気が付いた。
何かいけないことに触ってしまった、それをすぐに感じ取って話題を変えようとしたら、


「で、観に行くんだろ?このままだと体調不良と判断して今すぐ特等席をスタッフに用意させるが」

「人混みの中で一緒に騒ぐのが良いんですよ。
贅沢に慣れたら庶民の私は楽が平気になりそうで怖いんです」

「これくらいで贅沢なのか」

「チケットが当分先まで完売しているテーマパークに難なく入れて、アテンダントのスタッフさんがついたり、最短で乗り物乗れたりと贅沢の極みですよ」


私がため息をつきながら言えば、光生さんが笑いながらベンチから立ち上がり手を出した。



「これなら人混みに入っても大丈夫そうだな。
ほら、行くぞ。それとも行方不明になって迷子センター集合が良いか?」


私はムッとした顔をわざとして、そっとその手を取る。
きゅっと握られたその大きな手にびっくりしながら、歩き出した。

先ほど感じた私の違和感をもう光生さんから感じることは無い。
それは気遣いなのか、触れられて欲しくないのか、きっとどちらもだったのかも知れないと思いつつ、今の優しさが私にはただ温かくて自然と笑みが浮かんだ。