「何に乗りたいんだ?」
向こうからすれば私の後頭部は突きやすいのかと思いつつ一番人気のお城の中を乗り物で走行するものをお願いすると、二時間以上待ちという列を無視し建物横にある関係者入り口から入ればほぼ並ぶことも無く乗り物に乗れた。
何だか罪悪感が湧く。
外までの行列を見た後に涼しい中を通され、あっという間に乗り込むのはなんとも申し訳ない。
「どうした」
私の違和感に気付いたのか光生さんが声をかけてきて驚いた。
どうしてそういう小さな事は気付くの。もっと大きいところを見て気付いて欲しい。
「何だかずるしてて申し訳ないと」
「何もずるはしていない。そういうシステムが用意されていて、俺たちはそれを利用できるだけだ」
「私は無関係なんですけどね」
「俺の彼女だろう」
「何度言えば」
私の文句は急降下した乗り物の叫び声でかき消された。
「さて次は何が良いんだ?」
乗り終わって外に出れば光生さんがケロリとした顔で聞いてくる。
こちらは予想より乗り物がジェットコースター系でぐったりしているのに。
「あの」
少し離れたところでアテンダントのスタッフが笑顔で立っているのをチラッと見て、光生さんを側に手招きする。
「出来れば普通に回りたいですが」
「普通?」
「ですから、スタッフの人抜きで」
光生さんの口角が上がり、私はすぐさま勘違いをただす。
「勝手に良いように解釈しないで下さい。
スタッフさん引き連れてずるして乗るよりも、ちゃんと列に並んでアトラクション楽しむ方が落ち着くんです」
「俺と一緒なのも目立つだろう」
「じゃ別行動にしましょう、閉園時間30分前に入ってきたとこに集合って事で」
にっこり答えると、光生さんの表情はあからさまにムッとしている。
この人、思ったより表情が豊かだよな。
光生さんは顎に手を置き考えていたようだが私に視線を向ける。



