12上の御曹司と女子高生は愛を育めない


「他人が俺を御曹司だの苦労してないだのと言っているが、ある部分では事実だ。
だからそういう奴らを黙らせるには、人より努力して結果を出し続けるしか無い。
俺はそうやって周囲を黙らせてきた」


軽く笑って言うその言葉に、酷く重みを感じた。
きっとお金持ちの息子なら気楽に生きる道だってあったと思うのに、何故苦労する道を選んでいるのだろう。
そもそもその言葉が真実なのか、何とも判断できず複雑な気分になる。


「紫央里」


仕方なく運転席を向く。


「俺の気分転換に付き合ってくれないか」


素直なお願いに目を丸くすると、軽い笑みを浮かべている。

何だ、何を企んでいるのだろう。
でも先ほどの言葉を聞くと、何の利害も無い女子高生相手だから息抜きできるのかもな、と思えてしまった。
あんな家庭にいるのだ、少しくらい息抜きに付き合ってあげても良いのかも知れない。


「今回私の服はこのまま、無駄な贅沢はしない、訳のわからない告白とかナシ。
これが守れるのなら今回だけ特別に付き合ってあげても良いですよ」


ため息混じりに言うと、光生さんは笑いながら車のハンドルを握った。
うーん、何だか計算されていたような気がしてきた。


「約束する。ほらシートベルト」

「親には荷物渡すだけって言って下に降りたし、スマホしか持ってないので一旦戻ります」

「金は持たなくて良い。子供に出させるか。
それにスマホがあるなら電話すれば良いだろ、彼氏とデートに行ってきますと」

「さっきの話聞いてました?!」


結局押し切られ私は高そうな外車の中から自宅に電話をかけて、親には光生さんの人生相談に乗ってくるので出かけますと伝えると、運転席から突っ込みが入る。
だけどその顔は楽しそうで、こういう時に面倒な相手をわざわざ対応してしまう自分の性格をどうしたら治るのか教えて欲しいと天を仰いだ。