車で自宅前まで送って貰い、車から降りてドアを運転手さんが閉めると後部座席の窓が開く。
「ごちそうさまでした。もう会うことも無いでしょうけどお仕事頑張って下さい」
座っている光生さんがこちらを向いてニヤリと笑った。
「俺は決めたことは最後までやり通す」
それだけ言って窓が小さく機械音を立てて閉まった。
遠ざかる車を見て、よほど仕事の話を聞いてくれたのが嬉しかったのかなと思いつつも、もうこれで全て終わった事への安堵の方が大きい。
家に帰れば両親がウキウキ顔で来るのがうざいが、どういうべきかわからずに部屋に逃げ込んだ。
すると部屋にいた妹が私にスマホを突き出す。
そこにはバッチリ決めたスーツ姿の光生さんのインタビュー記事。
これだけ見ると仕事が出来そうに見えるなぁ。
まぁ話しを聞いて、真面目に仕事している人なんだとはわかってけれど。
「三ツ沢さん、格好いいねぇ」
「外見だけに興味があるなら芸能人にしておきなよ」
妹は不満げに文句を言うが本当のことだ。
私はただ、あの面倒な人と縁が切れたことにホッとしていた。



