魚料理が来て、少し焦げ目がついたところから良い香りが広がる。
焼いているのに白身はふっくら。
きっと光生さんは美味いもの食べ慣れているな。
「美味いもの食うのは好きか?」
「普通そうじゃないですか?」
これも美味しいなぁと思いながら光生さんを見れば、今度は白ワインを飲みながら窓の外を見ている。
既に外は真っ暗だが、ここはビルの高層階。
近くにあるビル群がイルミネーションのように美しい。
その灯りが綺麗な彼の横顔を照らしているが、楽しげに見ているようではなくそもそも外の景色を見ているのかわからないような瞳に見えた。
「そうでもない。食べるのに興味が無いヤツもいるし、好みが違う場合もある」
「そうでしょうけど、毎日こういうのなら私だって嫌ですよ。
初めて食べるから感動してますけど、日頃は普通のご飯が良いです」
「食べ物の好みや食に興味があるかってのは付き合うのに必要な条件なんだよ」
「ふーん」
「どうでも良さそうだな」
ムッとしている顔に何故か笑えてしまう。
この人一応大人に見えるのに、精神年齢子供だよなぁ。
そんな私の反応が不本意だったのか彼は眉を寄せたが、じっと私の目を見ているので怯みそうになる。
「で、告白はどこでされたい?」
「何頭おかしい発言してるんですか」
「既に交際しているが、そういう発言が欲しいんだろ?」
「最初、芝居に付き合わせるだけだって言いましたよね?」
「その後交際相手にするって言ったのを忘れるとは記憶力無いだろお前」
腹の底からイラァっと不愉快さが沸き上がる。
この人、人を不愉快に指せる選手権出たら優勝するんじゃ無いの、ぶっちぎりで。
私は彼を睨むけれど、向こうは平然と見下ろすように私を見ている。



