「何だお前は、突然に」
見下ろされたままなので、打ったお尻の痛みを感じながら起き上がる。
目線だけだと男の肩にも届かないほど背が高いので顔を上げれば、驚くほどに苛立った顔のイケメンが私を睨んでいた。
「自殺を止めに」
「誰が?」
「貴方」
そういって指を指すと、ハァ?!と思い切り声を出された。
「俺は外側の手すりに引っかかってしまったネクタイを取ろうとしていただけだが」
低い、苛立ちを隠しもしない声に私は無言になる。
うっそ、あんな体勢取っているから身投げしようとしていたのかと。
思わずばつが悪くなり顔を背けた。
「お前のおかげでネクタイは破れてボロボロだ」
「すみません・・・・・・」
勝手に勘違いした私が悪い。
顔を上げて見知らぬイケメンの目をきちんと見た後に頭を下げた。怖いけれど。
「ネクタイ弁償します。どこのブランドですか?」
「世界で一本しか無い特注品だが」
「何でそんな恐ろしい物使ってるんですか」
「今のでそういう返答になるのは何故だ」
「ということはオンリーワンなので値段が凄いと」
「値段はしらんが、子供では早々買えないだろうな」
淡々と馬鹿にしたような声に腹が立つが、このむかつくイケメンからすると自分は何も悪くないのに突然大事なネクタイを破られた訳で腹が立つのも当然だ。



