12上の御曹司と女子高生は愛を育めない



「そこが疑問なんだけど、普通大人は関係無い高校生と知り合うこと無いじゃ無い?
それで珍しがってるのかなって。性格歪んでるみたいだし」


唯一思い当たりそうな答えを言うと、彼は腕を組んだ。


「僕は簡単にそうとは受け止められないかな。
今まで聞いた話しだけでは答えが出しにくいけど。
とにかく川井さんを利用したのは事実だし、何かあると思って警戒はすべきだよ、女の子なんだから」


真面目な表情と答えに納得する。
おそらく物珍しさでやっただけで、そのうち飽きるだろう。
それに女の子なのだから、なんてさらっと言ってくれるのは嬉しい。
いつも私は何でもやってくれる人扱いで、こういう女の子だから気をつけてねなんて扱いされないし。

いや、光生さんも少しは・・・・・・。違う、あれは子供扱いだった。


「そうだね、きっとこんな子供相手すぐに飽きるだろうし」


笑って言えば彼は、んーと言いながら難しそうな顔をした。


「そういえば、三ツ沢グループって知ってる?」


先ほどまで名前を隠していたのに、気が抜けたのか横山君なら知っているだろうとつい聞いてしまった。
だけれどそれだけでピンときてしまったのか、彼は目を丸くして苦笑いしている。
ばつが悪く彼を見れば、大丈夫、と返されて、完全にばれたことを認識した。


「もちろん。この辺では有名な企業だから。
元々は先代が立ち上げた同族経営の会社で、今じゃ不動産や人材育成とか手広くやってるみたいだね」

「へぇ、詳しいね」

「学校から近い路線の数駅先のとこ、大規模開発してるでしょ?
あそこも三ツ沢グループの一番大きな子会社、三ツ沢建物って企業が主導でやってるよ」

「そうなんだ、知らなかった」


そう言えばマンションやら商業施設やら作るってのは聞いていた。
そういえばあの公園の見晴台からはあの場所が一望出来る。
もしかして様子を見に行っていたりしていたのだろうか。
うわ、その可能性はあり得る。


「そういや例の見晴台から見えるよね、その場所」


にこにこと横山君が突っ込んできて、私は恨めしそうに見る。
もう何もかも気付かれてしまった。


「大丈夫、約束は守るって。だけど一人で抱え込んだら駄目だよ」

「うん、ありがとう。話聞いて貰ったら楽になった」

「それは良かった」


元々友達の愚痴に付き合うことや相談を持ちかけられる方が多く、話を寄り添うように聞いてくれた異性は横山君が初めてだった。
同じ年齢の男子なのに妙に達観したような性格なのはきっと理由があるのだろう。
だけれどそれを聞くのはいけない気がして聞いていない。


「ほら、もう遅い、帰ろう」


確かにもう外は暗い。彼に促され、私は彼と一緒に学校を出た。