「名刺渡しただろ」
「だからメールしたじゃないですか」
「会社名とか俺の名前を検索しなかったのか」
「別に」
「俺と会ったなら普通は興味を持つだろう?」
「なに自意識過剰な事言ってるんですか。
もしかしてそっちは私を調べたりしたんですか?」
「当然だろ、だから交際相手と偽る相手にしたんだ」
わぁ、マジか。
軽蔑のまなざしをこれ以上無いくらい送るけれど、光生さんは無視して平然と次に出てきた刺身の盛り合わせを食べている。
「12月24日生まれ、A型。下に妹と弟のいる長女。両親は共働き。
高校は中の上レベルの公立、成績は学年でも上位に近いくらい。
見た目の地味なとおり班長に図書委員、周囲の世話を焼くからお母さんとか呼ばれているそうだな」
「そういうの勝手に調べるなんて最低ですね」
「交際相手を知っておくのは当然だろう?」
「利用するための情報集めたかっただけのくせに」
「で、お前は俺を知りたくないのか?」
なんで三十路のおっさんが楽しそうに高校生の私を見ているのだろう。
俺に興味あるだろ?聞きたいんだろ?教えてやっても良いんだぞ?
という上から目線に本気で腹が立つ。
「知らなくて良いです。
身勝手で俺様でボンボンで救いようの無い三十路ってのはわかってるので」
「おい」
低くて不機嫌な声がするけれど知るものか。
だけれど一つ引っかかっている。
どうせ会うのもこれで最後だろう、聞いておいてもいいかもしれない。



