連れてこられたのは一流ホテルの中にある和食店。
車をホテル前に止めた時点でわらわらとスタッフが集まってきて皆頭を下げるのでよく使う場所なのだろう。
通されたのは二人にしては広すぎる個室。それも掘りごたつなので正座しないで済むのが嬉しい。
何人か年配の人が代わる代わる挨拶に来た後、食事が始まってようやく二人だけになった。
「ほら、腹減ってるだろ?ぐーぐー鳴らしてたんだから」
「うるさいですね、頂きます」
文句を返して手を合わせてから長細い皿の上に並べられた先付けを口に入れれば、思わず美味しいと声を出してしまった。
上目遣いで対面に座る光生さんを見れば、冷酒を飲みながらニヤニヤしていて腹が立つ。
ほんとこの人私見てニヤニヤ笑うな、それも面白がっているのがわかる分腹が立つ。
「何です、さっきからニヤニヤと」
「そうか?」
「そうですよ、そんなに子供を弄って遊ぶのが楽しいですか?」
そう言うと、光生さんは顎に手を当ててまじまじと私を見た。



