12上の御曹司と女子高生は愛を育めない



「思い出し笑いか?もしかして俺のじゃないだろうな」


すぐ側にいる光生さんが不満げに言いつつ私に顔を近づける。
笑って私から軽くキスをすると、一瞬彼が嬉しそうな顔をしたのを見逃さなかった。
どうも私からキスをしてくれるのがかなり嬉しいらしいし、ねだれ、と上からの命令をしてきたりする。
まぁ彼のそういう捻くれている部分ですら可愛いと思ってしまうのだから仕方が無い。


「まだ結婚した実感無いなぁ」


ぼんやりとしながら呟く。
入籍直前に同居し始めたものの、その後は三ツ沢グループ社長の妻として仕事をこなしまくった日々で、新婚の甘々な日々とかそういうのを感じる暇も無かった。
光生さんのお父さんは光生さんの社長就任と同時に結婚して欲しかったようだが、光生さんが私の学業優先を譲らずここまで待って貰った以上それに答えたい。

正式な婚約自体は大学に入ってすぐだったけれど、婚約者として光生さんが苦労をしている事を間近で経験し、そんな彼を側で支えたいという気持ちが強くなったからこそこの歳で結婚することに踏ん切れたのかも知れない。
光生さんからすればこんな状況を見て嫌だと逃げられるかもしれないと、内心不安がっていたらしいと後で春日部さんから聞いた。
自信満々のようにみえて、結構弱気なところがあるのも正直可愛い。


「結婚式や披露宴も俺の仕事メインになってしまってすまなかった。
それで、だ。新婚旅行のための長期休暇を作った」


昔のことを思い返していたら、横にいた光生さんが思わせぶりに私に視線を寄こすと言葉を続ける。