両親は光生さんの謝罪と説明を受けて最初は不安げな表情をしていたが、光生さんの今後よりお嬢さんの近辺に注意しますという話や真摯な態度にとりあえずは今後も交際を続けることを認めてくれた。
私は光生さんを見送りにマンションの入り口に行くと、光生さんに呼ばれて再度戻ってきた車がタイミングよく前に着いた。
「またパーティー会場に戻るんですか?」
「あぁ。後片付けがあるからな、色々と」
車に乗り込んだ光生さんが後部座席の窓を開け私を見上げる。
「後で報告する。それまで俺以外からの接触は全て無視しろ。
愛しい恋人を罠にかけたんだ、それ相応に反撃はさせて貰う」
歪んだ笑みを浮かべた光生さんはイケメン御曹司とはかけ離れまるで悪代官のようだ。
しみじみ思った。
彼は遙に私よりも年上で、場数を踏み、私にはわからない苦労をしながら生きている人なのだと。
高校生の私では出来ることは限られている。
なら少しくらい光生さんを甘やかせてあげる時間を作ってあげたい。
「春休み、デートしましょうか」
「当然だ。今後の人生スケジュールの打ち合わせをしたいしな」
「やっぱり止めます」
私の予想より壮大なことを持ちかけられそうで真顔になって断った。
光生さんはそんな私に笑いかけ寒いから先に入れと言い、私がマンションの中に入ってから車が遠ざかる音が聞こえる。
あまりにめまぐるしい一日だった。
罠にはめられたり、例のギタリストが光生さんの弟の良光さんだったとわかったり。
だけれど光生さんが助けに来てくれたときの安堵となんて格好いいと想った気持ちが、胸にふわりと蘇る。
自然と崩れてしまった頬を整え、私は家のドアを開けた。



