静かになった部屋でぼんやり良光さんの出て行ったドアを見つめていたら、ずい、と私の目の前に光生さんが立つ。
威圧的な顔に思わず顔を逸らすと、両手で顔を挟まれて光生さんの方を向かされた。
「知らなかったぞ、あいつとそういう仲だったとは」
据わった目と低い声に私は弁解しなければと頭を働かせる。
「私だって今日初めて知ったのはわかったでしょう?」
「そうじゃない、そんな古くから付き合っていた男がいたことだ」
「いやいや言葉違うから!会ったことも無いし、相手の性別もわからなかったですよ!」
「そんなの下心のある男に決まってるだろう」
えぇ、と思わず声が出ながら脱力する。
光生さんとしては予想外に良光さんと関係があったことに相当腹を立てているようだが、こちらだって今さっき種明かしされ驚いているのに。
これはヤキモチというヤツかな、と内心嬉しい感情を抱きつつも火に油を注ぐ真似はしたくないので黙っていれば、
「悪い。大人げなかった」
と光生さんの方から折れてきた。
凄い、大人げないとか言えるようになったんだなぁ。
しみじみと光生さんを見上げていたら、居心地悪そうに視線を彷徨わせている。
「とりあえず家まで送る。ご両親に事情も話しておきたいし」
スーツのポケットからスマホを取りだし電話をかけそうになった光生さんに声をかける。
「良いんですか、ずっと抜け出たままで」
心配な私に光生さんは余裕のようだ。



