12上の御曹司と女子高生は愛を育めない


「何を言ってるんですか、最後ちゃんと助けに来てくれたでしょ?」

「それはお前が歌を歌って時間を稼いでくれたおかげだ。だから間に合った。
それにしてもあんな事が出来たんだな、知らなかったから本当に驚いた」


心底安心したのだろう、ホッとしたような顔と不思議そうな顔を私に向けている。

あんな事が出来た理由を話そうとすると先ほど入ってきたドアが開き、光生さんが瞬時に立ち上がって守るように私の前に立つ。


「お、何とかなったようだねぇ」


ドアが閉まり、そこへ背中を預けながら腕を組んだスーツ姿の男性は、あの屋敷にいた光生さんの弟だった。


「良光、やはりお前が噛んでいたのか」


低い、怒っているのが伝わる光生さんの声に良光さんは肩をすくめる。
髪は黒く染めて後ろで一つに縛っているが、スーツを無理矢理着ているのがわかるほどで申し訳ないが似合っていない。


「あの恐ろしいお母様の命令だったんだ、仕方が無くてね」

「何の取り引きがあった。お前が満足する内容を提示されたんだろ?」

「向こうの目的はあんたの社長就任を阻止し、俺の次期社長への道を強固にするとか言っていたかな。
それを俺の喜ぶ内容だと勝手に向こうは思っていたようだけど」


何だか興味も無さそうなほど軽く話しているが、光生さんの背中からはずっと怒りが感じられて、私は立ち上がると彼の隣に立ちその手を握った。
光生さんは急な行動に驚いていたようだが、段々と表情が落ち着いて私に頷いた。