12上の御曹司と女子高生は愛を育めない


そこからは伴奏に合わせ歌う。
もう間違えてもいい。
私には学歴も顔も教養も武器となる物は無い。

これだって武器になるとは思わないが、何もしないよりマシだ。
どうせなら全力で歌いきってやる!

ただひたすらに音を響かせた。
笑顔を浮かべて今やれることを精一杯に。

歌い終わると伴奏が余韻を膨らませるように止まる。
私は深々とお辞儀をし、ピアニストの彼女にもお辞儀をした。


「川井さん、ありがとうございます」


タイミングよく会場に響いたのは光生さんの声。
驚いて横を見れば、いつのまにかマイクを持った光生さんが立っていて私に笑顔を見せた。