12上の御曹司と女子高生は愛を育めない

彼とにらみ合いをしている間に煌びやかなホテルに着き、彼が問答無用で私の手を取ってホテルに入る。
通りながらここも三ツ沢グループのホテルだとわかった。
それもおそらく一番良いホテル。
ここで創立記念パーティーをせずに婚約パーティーがあるのだろうか。


「高田さん、止まって下さい」


私の言葉を無視し、彼はエレベーターに乗ると五階のボタンを押す。
そのボタンの横にはホールの名前がいくつかあり、私が手を離すように言っても彼は一切私の手首を放さず、そして私を見ることも無い。

罠確定と思っても何をされるのかがわからない。
ほんの少しだけ友人のパーティーなのではないかと思ってしまう私は現実感が湧いていないのだろう。

大声で叫べば良いと思っても、もし光生さんの関係者がいて私のその行動こそが罠だったとしたら彼に恥を掻かせてしまう。
だから身体が動かない。
頭を回転させても、一体こういう世界ではどんな事が罠になるのか想像も出来ずに五階に下りた。

模様の描かれたゴージャスな絨毯が敷き詰められ、広々としたロビー、そして周囲には会場に入るためのドアがある。
エレベーターに乗ったときにちらりとみたが、この階だけで三つ部屋があるようだ。