12上の御曹司と女子高生は愛を育めない


その後テンポやアレンジを変えて五回くらい行われた。
スマホを時計を見ればあっという間に時間が過ぎていて、この部屋の残り時間も少ない。

だけど満足感が大きかった。
もっと練習して次に合わせてくれるチャンスはあるのだろうか。
そもそも隣の人と顔を会わせたことは無いのにそれなりの付き合いだ。

一度挨拶したい!

きっとタブーだろうけどたまらず部屋を出ると、隣の部屋から出てきたのは髪をピンクに染め、濃い紫の口紅をつけ皮ジャンを羽織った格好いい女性。歳は20代と思うけどよくわからない。
その女性が私を見て、豪快な笑顔を見せた。


「あ、あの」

「これあげる」


必死に声をかけると、何かを差し出されそれに視線を向ける。
それは外国人女性の写ったCD。


「ここにさっきやった曲入ってるから、今月中に歌詞完全に暗譜して歌えるようになって」

「何故ですか?」

「いーから。音楽は武器よ」


そういうと女性は私にCDを受け取らせ、ウィンクをして立ち去った。

それを呆然と見送った後自分の部屋に戻る。
CDは有名な外国の歌手。
後ろには曲名が並んで、そこにアメイジング・グレイスがあった。

何で暗譜?それも今月中に。
もしかして何かに誘われるのではないだろうか、例えばボーカルとして。

いやいや、またカラオケで練習したいために覚えてきてくれと言うことだろう。
まさかそんな事が起きるなんて。