「・・・・・・なるほど。私が思ったより本気の交際のようだ。
てっきり見合いを断るためにたまたま知り合った女子高生を脅して巻き込んだものと」
ギクゥと自分の肩が揺れた気がした。
もしかしてわかっていたのじゃないだろうか、このお父さんは。
さすがに引きつった笑顔しか作れない。
だけれど、光生さんのお父さんは驚くほど穏やかに微笑んだ。
光生さんは口元に手を当てコホン、と軽く咳払いした後、
「とりあえず恋人に会わせろというそちらの身勝手な要望を叶えた以上、こちらを詮索するのは止めてくれ。
まだ彼女は学生でその本分を全うして欲しいし、俺も仕事に打ち込みたい」
「お前が子会社で素晴らしい業績を残したからこそ親会社にお前が入ることへの条件を飲んで、お前が望んだ部署も作った。
本来なら出来るだけ早い時期に経営に関わらせたい。
その為にはせめて婚約者が欲しいというこちらの希望に、少しは歩み寄っても良いんじゃ無いか?」
光生さんの言葉に、すぐさまお父さんが返して光生さんは慣れているのか表情は変わらない。
「だから周囲が納得するほどの業績ひっさげて移動したんだろ。
それを婚約者などで繕う必要など無い」
「いつまでもパーティーに独り身での参加だと、自分の娘はどうかと持ちかけられる話が多くてこちらも対応に苦慮しているんだ」
「そんなもん放っておけ。では帰る。紫央里」
「はい」
お父さんに面倒な声で返すと立ち上がり、座っている私に手を伸ばす。
その手を取れば軽く引き上げられ、そのまま手をしっかりと握られた。
実は慣れない正座をしていて足が痛くてたまらなかったから、下手するとよろけていたかもしれない。



