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家に帰ればごく普通の我が家の日常。
食欲が湧かずに夕食を早々に切り上げて、妹はテレビを見ているので部屋に戻って光生さん専用のスマホを手に取る。
そして簡潔に、お父さんと話したこと、交際を止めるように言われたのを断ったことを書いて送った。
本当は帰宅してすぐに送るべきだと思ったが、怒りが収まらなくて頭を冷やそうと食事の後にした。
だけどこうやって内容を書いているとさっきまでのことが蘇り、もっと言えば良かった、もっとこういう風に返すべきだった、そもそも着いていくべきでは無かったのではと後悔が押し寄せる。
大人だったら、頭の良い人間だったらもっと上手く闘えたのにと自分が嫌になる。
送信し終わったスマホを手に持ったままベッドにもたれかかっているとスマホが震えた。
そこには光生さんの名前ですぐに電話がかかってきたことに驚きながら通話ボタンをタップする。
『大丈夫か?!』
第一声焦ったような声に、私の肩の力が抜けた。
私はこんなにもこの人に甘えてしまうようになったのだろうか。
「大丈夫ですよ」
『内容が簡潔すぎだ。詳しく話せ』
「お仕事中だったのでは?」
『そんなもん抜け出すに決まってる。紫央里が優先だ。
で、何を言われた。全部吐け』
あからさまに苛立っていて私は苦笑いしながら覚えていることを全て話した。
おそらく情報共有はきちんとしておかないと光生さんの足を余計に引っ張る。



