「お父さんが光生さんのお母さんを人質に取られていたから従っていたように、光生さんだってそれを邪魔しないためには立派な息子になるしか無かったんじゃないんですか?
光生さんはお父さんやお母さん達の気持ちを冷静に理解していたのに、自分の幼かった頃の事は酷く自虐的に話しました。
そうさせたのは、あの人の人生を振り回した父親の貴方でしょう?」
段々早口になり最後は目が据わっていた。
お父さんはじっと私の目を見たままで逃げることもしない。
私が話し終わった後、しばらく沈黙が続いた。
私としては今すぐにここにあるカルピスを目の前の人にぶっかけたい気持ちだった。それくらい怒りで理性が吹っ飛びそうだ。
「・・・・・・おそらくこれから彼女たちグループが光生と君に何かしてくるだろう。
特に君は狙われやすい。それで光生がショックを受けてミスを犯せばそれも彼らはカードとして利用するだろう」
私は一口も飲んでなかったカルピスのコップを掴んで、一気に飲む。
しゃべったせいかかなり喉が渇いていて、テーブルに置いたときに大きな音がしてしまったけれど私は気にもしない。
「光生さんが言ったんです。こういう時期だからこそ私にいて欲しいと。
私はただの高校生です。光生さんにとって弱点だってわかります。
ですが彼が望んで、私も頑張っている光生さんの力になりたいと望んだんです。
貴方も光生さんの人生を振り回した責任を少しでも感じているのなら、もっと光生さんが望むことでバックアップすべきだと思いますが」
私はテーブルの端に置かれていた会計票を持って立ち上がる。
お父さんは座ったまま、私を真っ直ぐに見上げていた。
「ここは奢ります。クーポンが二人まで使用できるので。
ではさようなら」
私は頭を下げるとお父さんの顔を見ることも無く鞄を掴んで出入り口の会計に急いで会計を済ます。
ファミレスの階段を降りながら湧き上がってくる涙を必死に抑えた。
喉も締め付けられて、それでも目の前が霞んでしまう。
鞄に手を入れて光生さん専用のスマホを見るが特に着信などは無い。
私はそれを見て再度鞄にしまうと、罵詈雑言を叫びそうになるのを我慢しながら足早に自宅に戻った。



