「久しぶりだね、紫央里さん」
優しげな笑みを向けられ、私も挨拶し頭を下げた。
しかしこの時期にお父さんが来ている。偶然と取るには無理がある。
「すまない、少し時間をもらえないだろうか」
「・・・・・・光生さんとの件ですね?二人だけで話すのなら光生さんに許可を得ないと無理です」
すぐに交際しだして再度渡された光生さん専用のスマホを取り出すと、お父さんは困ったように眉を下げる。
「光生がそうするように言ってあるんだね。
だけどこれは君が関わることだから君が決めることだ。
光生の言いなりになってしまってそれで良いの?」
この人は温和そうに見えて腹の中がわからない人だ。
すぐにそれを悟って私は警戒レベルを上げる。
「今ので君の警戒を強めてしまったようだ。
純粋に息子の行く末を心配していてね。彼女である君にはそれを理解するためには私と話すことも必要じゃないのかな」
随分と嫌な言い回しをする人だ。
だけどどうやっても私と二人きりで話したいらしい。
どうせろくでもない話だろうが、光生さんの父親にはかわりない。
私は回避することよりも、受けて立つことに決めた。
「一時間以内、そして近くのファミレスでよければ応じます」
お父さんは目を丸くした後、吹き出すように笑う。
その子供っぽい顔が光生さんに重なって、やはり親子なのだと実感させた。
「私の我が侭に付き合って貰うんだから、君の要望に従うよ」



