「高校生同士の交際なら色々遠慮無く外で動けるんだろうが、正式に交際することになった以上さっき言ったように俺の家が何らかの方法で介入してくるはずだ」
少し低い声で言われた言葉に、舞い上がりそうになっていた自分が一瞬で冷静になる。
そもそも偽装していた時ですら何か危険があったんだ、やはり正式にとなるとどこかにバレる物なのだろうかと心配が増えていく。
「あの、一番危険なのは両親がしゃべってしまってバレるパターンですか?」
「それは言ってしまった以上漏れることは覚悟の上だ。見張りもあるだろうし。
そうではなく、うちの会社は二月に取締役会があるんだ。
社長の任期も近づき、再度内の父親になるのか後継者を指名するのかが議題に上がるだろう。
三月には創立記念のパーティーがあって、下手をするとそこで次期社長指名なんてパフォーマンスも起きかねない。
ようはここ数ヶ月気が抜けないんだ」
難しい話を光生さんにされているが、とにかく光生さんを次期社長にしたいお父さんと、自分の息子を社長にしたいあの女性で色々起きるのだろう。
そう考えると今私が光生さんの側に居るのは一番弱点となるはずなのに。
「そんな危ない時期なら、私と交際を正式に始めるのは止めた方が良いんじゃ無いですか?
それこそ高校卒業してからの方が色々と」
「断る」
私の言葉に被せるようにきっぱりと言われて私が驚いた。
「そういう時期だから紫央里にいて欲しかったんだよ。
お前がいてくれれば俺は自暴自棄にならずに闘える」
「でも」
私の手を包む力が強くなった。



