「あなた、それはまだ待つべきだと言っているでしょう?
息子は他にもいるんですから」
あぁ、何となく見えてきた。
光生さんには腹違いの兄弟がいるのだろう、今の奥さんは自分の息子に跡を継がせたい、父親は前の妻の間に出来た光生さんに会社とかを継がせたいのか。
早く身を固めた方が良いはずなのに、なんで光生さんは高校生の私を使ってまで逃げているのかはわからないけれど。
「紫央里さん」
「はい!」
女性がこちらに声をかけたけれど、どうみても睨んでいる。
「貴女は光生さんがどういうものを背負い、そして彼が愛人の子だという事をわかっているんですよね?」
「止めて下さい」
あい、じん?
ぽかんとしそうになった瞬間、隣にいた光生さんが鋭い声で割って入った。
「まさか、言ってないの?」
「彼女と交際する事には関係ありませんので」
「結婚を見据えての交際でしょう?」
「まだ彼女は高校生で交際が始まったばかりです。そういう事は求めていません」
「あぁ、なら遊びなのね。血は争えないって思うと理解できるわ」
「清子(きよこ)」
父親の鋭い声にも母親は馬鹿にするかのように軽く笑っている。
「それは貴女もお互い様でしょう?」
今度は光生さんがそういうと、清子さんはふん、とそっぽを向く。
わからない。
何かこの家族は滅茶苦茶なのではないだろうか。



