着信だ。だけれど反射的に通話しないようにタップしてしまった。
なのにすぐまた震えだし、私はそれを持ったままどうすべきか悩んでいた。
本当はきちんと会って話すべき事。
それをメールで済ますなんて失礼すぎるってわかっていても、会うのが怖かった。
震えたままのスマホを握っていると、
「紫央里!」
という声に思わずベンチから立ち上がり振り向いた。
そこにはスーツ姿でスマホを持った光生さんが走ってくる。
「見つけたぞ」
低い、怒りにも思える声に思わず身を縮こませる。
「車を路駐させてるんだ。切符切られたら不味い。来い」
戻ろうとした光生さんの後に付いていくことが出来ずその場にいれば、光生さんが戻ってきて私の手を掴むと、急ぎ足で歩き出す。
「光生さん!」
「とりあえず車に行くぞ。話はそこで聞く」
私の手を引っ張ったまま振り向きもしない光生さんの言葉は反論を許さず、私は黙って車に向かった。



