12上の御曹司と女子高生は愛を育めない



専用のスマホをポケットから取りだし、何度も文章を書いては消してを繰り返す。

そしてようやく送ったメールは、今まで考えた中で一番短かった。

『お仕事お疲れさまです。
お返事が遅くなってごめんなさい。
申し訳ありませんがお断りさせて頂きます。
光生さんが幸せでいられることを願っています』

画面を消し、真っ暗になった画面に私の顔が映った。
涙一つ浮かべていない、無表情な顔。

地味な自分の顔は見慣れているはずなのに、何とも酷い顔だと思いながらベンチの背に体重を預けながら顔を上げる。

空を見上げればどんよりとしていて、あのアフタヌーンティーで光生さんを振って、一人ホテルから帰っていた時のことを思い出した。

その時とは気持ちが違う。
不器用なりに何度も私に手を伸ばしてきた光生さんも、今回は私の返信を受け止めるだろう。
そうすればあの馬鹿げた言い合いもしなくて済む。
彼の足を引っ張ることも無い。

クリスマスイブまであと二日。
私は彼氏のいない誕生日を迎えることを心に決め、横山君にもお断りのメールをした。
あんなに片思いしていた相手に断りのメールをこんなに地味な私がすることになろうとは。

きっと最初で最後のモテ期だった。
私はそんな奇跡を味わえたことを感謝しようとぼんやり空中を見ていたら手の中にある光生さん専用のスマホが震える。