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連れてこられたのはテレビでしか見たこと無いような豪邸。
ここは都内でも高級住宅地として有名だが、歴史ある洋館なのか玄関前に何台停められるかわからない広さの車止めがある。
ヤバいところにきた、という感想しか無い。
中に入れば白い壁の明るい吹き抜けのホール、そこには使用人らしき男女が待ち構えていて揃って頭を下げた。
ふと視線を感じて上を見るとホールの横にある階段の上に、金に近い茶に染めた髪の若い男がこちらを見下ろしていて私をじろじろと見た後、鼻で笑って消えた。
光生さんの関係者だろうが、あんな態度を取られると言うことは歓迎されていないのはわかった。
洋館なのに広い和室に通され、ガラス窓からは庭園が見える。
囲いがある所を見るとこの部屋用に庭があるらしい。
間違いなく光生さんは金持ちの息子なのだろう。あの偉そうな態度と金のかけ方にも納得出来る。
お茶が出された後二人きりになり、緊張が襲ってきて膝に置いた手が震えそうになるのを我慢する。
「なるべく早い時間で切り上げる。悪いが芝居にしばらく付き合ってくれ」
今更ながらとはいえそんな言葉に目を丸くして見ると、嫌そうな顔をされた。
「なんだ」
「いや、案外悪い人じゃ無いのかもとちょっとだけ思いまして」
「こういうことに子供を無理矢理巻き込んでいるんだ、良い人間な訳ないだろう」
嫌そうな顔のままそんな言葉を言われ、何故か笑いがこみ上げた。
クスクスと笑っていると隣から視線を感じそちらを見れば、より不機嫌そうな顔をしている。



