「良いですね、私も将来そういう仕事したいな」
なのに光生さんはわかりやすいほど嫌そうな顔をした。
「何ですか、生意気な私を部下にしたくないのはわかりますけど」
「そうじゃない、よくある勘違いパターンだな、と思ったんだよ」
は?と不審な声を出す。なんだ、よくある勘違いパターンって。
「言っただろ?会社はそもそも営利目的だ。利益を上げてなんぼ。
俺の部署は金を生まないんだよ、特に営業職なんかからみれば。
だからこそ、外でどれだけ業績を上げたり、稼いだヤツじゃなきゃ部署には入れていない。
夢ばかり見る人間がいると、採算度外視のことをしてしまうからな。
稼いでくることの苦労、そして未来への投資、さじ加減がわからないと単に会社の負担になるだけで早々に部署は潰される」
あぁ、そういう事なんだ。
何だか凄く良いことをしているってだけ思えていた。
そういう事をする重さを理解せず潰されてしまえば、新たな種はまかれない。
「別に今何でもわかろうとしなくていい」
「だけど同じ高校生でも起業しようと思う人だっているんでしょう?」
一気に子供扱いに戻った気がして悔しくて言ってしまう。
ため息が聞こえてそれがどうしても面白くない。
「起業を考えるヤツが全て偉いわけじゃ無い。人それぞれだろうが」
「だけど」
「お前がそういうのを意気揚々話し出す女なら恋人に何て思っていない」
「恋人じゃ無いですけど、ようは馬鹿な女だから選んだって事ですか、もちろん恋人じゃ無いですけど」
わざと恋人じゃ無いを二回入れてみれば、光生さんの表情が固まった。
数秒フリーズした後に、目を泳がせながらあー、という言葉の後に、すまん、と謝罪が出てきて目を丸くする。



