「既に紅葉シーズンは過ぎたからこれくらいの混み方で済んでる。
紅葉のピーク時は凄いぞ、外の道路に列をなすので入場規制がかかるんで地元住民から苦情の嵐だ」
景色を眺めながらいつものことだと平然と言う光生さんに、私は乾いた笑い声になった。きっと大変な目に遭ったことがあるのだろう。
「光生さんってここも関わってるんですか?」
「いや、関わってない。ここの自治体とはさっきのご夫婦とあと一つ絡んでいるくらいか」
「そもそも新規事業開発部ってこういう場所と仕事するんですか?」
先ほどの話を聞く限りでは、田舎と繋ぐような事なのだろうか。
どうやら私が仕事に興味を持ってくれるのは嬉しいのか、何も馬鹿にすることも無く私の質問に答えてくれる。
「会社によってやることは違う。
俺がいる部署はさっき話したようなIターン支援や地方自治体のサポート、他には高校生、大学生などの学生向けに起業家を目指す場合の支援なんかもやるから、講演会の司会進行役までやったりするな」
「凄いですね、何というか幅広いというか」
司会進行役までやる光生さん見てみたい。
学生向けに色々やっているなら交流もあるだろうになんで私が、と思ったけれど、むしろ仕事と関わっていないから私なのだろう。
それにしても仕事の説明をして貰ったけれど、何ともピンとこない。
こう、物を売ってます、建物作ってます、の方がわかりやすい。
「お前、俺の説明聞いて疑問持たないか?」
どういうことだろうという質問の意図がわかっていない顔がバレたかも知れない。
わかっていないのを見抜かれたと思ったけれど、疑問を抱くというのはどういうことか考えているけれど出てこない。



