12上の御曹司と女子高生は愛を育めない



しばらくして着いたのは山の中にある古い民家。
周囲は砂利の敷かれた広い場所があるが、かなりの車が停まっていて、東京方面から来ている車も多いようだ。


「早めに来たつもりだったがこれは少し並ぶな。大丈夫か?」

「はい」


店の外にも数組立っていて、どうやら中にも待っている客がいるようだ。
てっきり予約とかしているのかと思っていたのに。

私がそんな考えをしながら見上げていたのに気付かれたのか、


「ここは予約を受け付けてないんだよ。終了時間も麺が無くなれば終了だからまちまちだし。蕎麦も天ぷらも美味くて時々来るんだ」

「そうだったんですか。こういうお店というか並んだりすること自体意外です」

「別にその時々、目的なんかで臨機応変にやる。
こうじゃなきゃ駄目だなんて決めつければ視野が狭まるからな」


そう言って列の先を見ている人が知らない大人に見えた。
私がきちんとこの人を見ていなかっただけなのだろうか。

40分ほど待つ間、差し障りの無い話をポツポツとした。
あのアフタヌーンティーから今日までの時間、私には長く感じたけれど光生さんにはそうでも無かったようだ。

俺だって学生時代は一年が長く感じたよ、という光生さんの言葉は、フォローなのかもしれないが年の差を痛感させるものだった。


店の中は賑わっていて、座敷とテーブル席があったが四人がけのテーブル席に案内され頼んだのは一番人気のざる蕎麦とキノコの天ぷら盛り合わせ。

出てきたキノコは周辺の農家から仕入れている物らしく、特にマイタケが大きくて皿一杯に存在感をアピールしていた。

蕎麦は思ったより灰色だったけれど、こしがあって蕎麦の良い香りが鼻を通る。
キノコも驚くほど甘みを感じてお腹が減っていたのもあって夢中で食べていた。