「・・・・・・ふぅん」
きっちり一時間後。
眼鏡はコンタクトレンズに化粧と髪もカットとセットされ、高そうな濃い紫色のワンピースに歩きにくい靴を履き、光生さんの前に立っていた。
そして私を上から下まで見たコメントが先ほどの言葉だ。
どこまでいじくれるか試してみたかったのだろうか。
終わったなら疲れたので速攻帰りたい。
「じゃあ行くか」
「だから説明を求めますと言ってますよね?!」
車の後部座席に押し込められ、何度目かの言葉を繰り返すとようやくこちらを見た。
「これから俺の交際相手になってもらう」
自分の目が、軽蔑のまなざしを浮かべているのがわかる。
大丈夫か、この人。私は女子高生なんですけど。
「本当な訳がないだろう。
親が見合いを無理矢理セッティングしては毎回会って俺が断るのは流石に面倒になって、好きな相手がいるから見合いはしないと言っておいたんだ。
今度は会わせろと言われてもなんとか逃げていたが、さすがに邪魔なヤツも出てきたんでな。
実は現役高校生と交際中となれば、少なくとも親父達は公に出来ない手前黙るだろう。その為の芝居に付き合え」
光生さんは前を向いて腕を組んだまま。
内容を整理すると、ようは美人とかそういうのではなく、現役高校生という立場が便利だから利用したいということか。
先に用件を言えば間違いなく私は断っていた。
そうさせないためにここでようやく言うなんて本当に最低なやり方だが、はいそうですか、とすんなり受けるわけが無いだろう。



