「どうした?」
運転席に乗り込んだ光生さんがシートベルトをしながら聞いてくるので仕方なく、
「隣のカップルの女性にもの凄く見られていたのでびっくりしたんですよ」
「そりゃそうだろう、俺がエスコートしてるんだから羨ましがるのも無理は無い」
「左様ですか」
既に車はサービスエリアを出て高速を走っているが、こういう返しが来るとホッとしてしまう。
この俺様イケてるという自覚は消えていないようだ。
「さっきの続きだが」
話し出されて何だっけな、と思い返して質問の答えがまだだったのを思い出す。
「毎日届けた訳じゃ無いが、あれでマメな方に入るんだな。
手紙は書いてから自分でポストに入れていたんだよ、仕事の終わりが深夜なんてざらだし。そもそもあんなのを他人に任せられるか」
ごく普通に言葉が返ってきて拍子抜けする。
もしかしてあまり意味の無かったことなのだろうか。
そう考えると、ズンと自分の心が沈んだことにむなしくなる。
沈んだ理由はわかってる。
桃にも言われたし、こういう手間のかかることをしてくれているのだ、未だに気持ちがあるんじゃ無いだろうかと自分が期待していたことを。
そして、それが違った場合自分を守るために、そんなことあるわけ無いと必死に言い聞かせていることも。



