「何ですか、わかっててだまってるんですか?」
今までの同じレベルで揉めていた方がやりやすいのに。
私の苛立ちをわかっているように、また光生さんは口の端を上げた。
「別に紫央里を馬鹿にしているつもりは無いよ。
手紙を送り続けていた効果はどれくらいあったのだろうと計りかねてただけで」
ん?と眉間に皺が寄る。
それは私に対してだとは思うけれど、効果って?
考えていて桃の言葉が浮かんだ。
私を諦めていない。
そうだとすれば、手紙を送っていたことで私の怒りが沈静化しているのを確認しているのだろうか。
沈静化どころではない、むしろ最後は心配になっていたのに。
「何で私にあんな直筆の手紙、こまめに届けてくれたんですか?
あの日は光生さんに会いましたけど、それまでは春日部さんあたりに届けさせていたんですか?」
「紫央里、近くにサービスエリアあるけど寄る?」
「あ、はい」
そのまま私の疑問には答えが無く、すぐにサービスエリアに入った。
トイレ休憩としてお互い別れて集合場所に戻ってくれば、光生さんが日陰で立っているだけなのに周囲の人がちらちらと見ている。
凄いな、遠くから見ている方が冷静にあのイケメンを理解できる気がする。
私に気付いた光生さんが私に冷えたお茶のペットボトルをくれて、お礼を言いながら車に戻る。
きちんと助手席のドアも開けてくれ、横に車を止めたカップル、それも女性の羨ましそうな視線に気付いて慌てて乗り込んだ。



