「以外だな、料理学校にでも進むのかと」
「食べるのは好きですが、まさかただそれだけで安易に進学先を導き出してないですよね?」
「はは、以前の紫央里になってきたな」
条件反射のように苛立ちを表に出しながら答えると、余裕ある返事に毒気を抜かれてしまう。
以前の。
以前の光生さんとはやはり違うように思える。
身勝手で我が侭で私のことを気遣うようで気遣っていないで、そして時々可愛い顔や寂しそうな顔をする人だった。
それが妙な落ち着きを、いや年相応の大人の余裕なのかはわからないがそんな雰囲気にむしろ心配になった。
何か諦めたのか、辛いことが起きて心を閉じているのか。
それが私にはわからない。
「・・・・・・何だか変わりましたね」
我慢できずに言葉にしていた。
光生さんはチラッとこちらに視線を向けたけれど、何言っているのだ、という不思議顔に見えた。
「変わった?俺が?」
「はい」
「自覚は無いけどな」
本人に自覚は無い。となるとこれは計算なのか、私が久しぶりすぎて以前の記憶が曖昧になっているのだろうか。
むむ、と口に手を当てて考え込んでいると隣から軽い笑い声がした。
「自覚は無いが春日部には似たような事を言われたよ。
周囲にもそう感じている者もいるようだが俺に直接言ってこないから、それを含めて春日部が言ったみたいだが」
「なにか、あったんですか?」
「なにか、ねぇ」
面白そうな声で言うと、そのまま何もしゃべらない。
身勝手な人ではあったけれど、思わせぶりにされたり妙な揺さぶりをしてくるような感じがして何があるのかと思ってしまう。



