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一応少しは女の子らしい格好をしてマンションの前に行けば既に光生さんの車が停まっていた。
春日部さんのお迎えかと思っていたのに光生さんが車から降りてきて、私達は挨拶を交わすと光生さんがドアを開けてくれ助手席に座った。
「お前、蕎麦食えるか?」
唐突な質問にはい、と答えると、
「高速使うけど上手い蕎麦屋があるんだ。そこでいいか?」
頷けば車は走り出してしばらくして高速に乗る。
てっきり都心の高級レストランに連れて行かれるものと思っていたのに蕎麦屋が出てくるなんて。
今日の光生さんはジーンズにニット。
カジュアルだけどやはり服はお高そうだ。
「もう、進学先は決めたのか」
沈黙が続いていたが、光生さんが前を見ながら聞いてきた。
「大学に進みます。第一希望の大学は合格圏内ギリギリなんですけど」
「学部は」
「商学部を」
「お前が?」
「すみませんね」
驚いた声にムッとして返してしまった。
光生さんと話すときに少しでもついていこうと色々勉強していたら自然とそういう方向に興味が湧いた。
先生に聞けば経済学部や経営学部があるけれど、商学部の方が就職先としても幅広いし教員免許も取れるとなると魅力的に思えた。数字に強くないといけないそうだけれど、そこまで苦手じゃないので良いのかも、と思えたのだ。



