12上の御曹司と女子高生は愛を育めない


私は時計で家を出る時間を確認し、そっと封筒を開けた。

中の紙は以前スマホを渡された時に入っていたような印字では無く、全て手書きなのに驚いてしまう。
性格がわかるような几帳面な字を読み始めた。

そこには交際を申し込んだとき、どれだけ身勝手で言葉が乱暴だったか、態度についてまで反省していること、そして丁寧な謝罪が書かれていた。

仕事が忙しかった時期に私と時間を過ごしたこと、メールが届いたのを見れば仕事をやる気になったのだと、あの日言われなかったような、読んでいて恥ずかしい気持ちにさせる内容の数々と共に、これを必死に書いているだろう姿が思い浮かんでしまう。

最後まで、交際して欲しいという言葉は無かった。
ただ謝罪と私との時間がどれだけ楽しかったかが書いてあるだけ。

読み終わってがっかりとしている自分がいる。
自分で断っておいて追いかけてきて欲しいと思っているのだとしたら、なんて身勝手なのだろう。

そもそも再度申し込まれてもやはり私は受けるつもりは無い。
あれだけ迷惑だったと思った日々も、思い返せば光生さんとぎゃぁぎゃぁ言い合ったり、美味しい物を美味しいと言いながら食べていたり、仕事に真面目なあの人の姿が美化されて思い出してしまう。

時計を見て家を出る時間に差し迫っていることに気付き、私は封筒を机の引き出しにしまうと急いで家を出た。