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ある日の朝、顔を洗ってリビングに出て行くと母親が私に手紙を差し出した。
「三ツ沢光生さんからよ」
味気ない白の細長い封筒。
表には私の名前、裏には差出人として光生さんの名前が全て直筆で書いてある。
「お母さん、中を読んだの?」
封筒は空いていないが中身を見そうなのにと思えば、
「そこに『親展』って判子があるでしょう?
それは宛先の人、ようは紫央里にだけ読んで欲しい、他の人が開けないでって意味なのよ。だから空けてないよ」
確かに封筒の表面下の方に、赤い判子で『親展』と押されている。
私はお礼を言って朝食もそこそこに部屋に戻る。
封筒には切手も消印も無い。
そもそも母親が朝渡したと言うことは、新聞を取りに行った時にポストに入っていたと言うことだろう。
おそらく以前のように部下か春日部さんにでも夜ポストに入れさせたのだろうか。



