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光生さんからメールの返信らしきものが三日後に来た。
それも来週の土曜日十二時から夜くらいまで付き合えという。
こちらのスケジュールは無視なのか。
それに、意味がわからない。
何せそれしか書いていないのだ。
どこに行くかも、何をするのかも書いていない。
どこに行くんですか、何時にどこで待っていれば良いですか、とメールするとすぐに返信が来た。
十二時にマンションの前にいろ、とだけ。
幸いその日予定は無かったが、親には友達に会うという嘘をついて出ることにして、一応持っている中でシンプルな服でマンションの外に出ると、そこには黒塗りの車が停まっていた。
すぐに年配の男性が車から降りてきて私に深々と頭を下げる。
黒のスーツ、年齢はおじいちゃんより少し前くらいだろうか、ほとんど白髪なのにその髪を後ろに撫でつけていて、その人はとても穏やかに笑みを浮かべた。
「川井、紫央里様、お待ちしていました、私、光生様の秘書兼世話係の春日部と申します。
光生様の命によりこれから光生様がお待ちしている場所までお連れします。どうぞお乗り下さい」
そう言って後部座席に促され、私は車で都心のとあるビルに連れてこられた。
中に入れば広い天井、その割に少ししかかかっていない服や小物。
高級ブティックらしく、キョロキョロしていると奥の真っ白なソファーで長い足を組み、スマホを弄っているスーツの男が顔を上げた。
前回とは違い髪もセットして七三くらいでわけて後ろに流しているが、明るいところで初めて見て思った。この男、腹が立つほど顔もスタイルも整いまくっている。
名刺には会社名などがあったから会社員だろうけれど、こういう恐ろしいルックスの会社員って仕事はできるのだろうか。



