中学校では学ランのボタンをはずすのが流行っていた。まずフォックをはずす。それはもう僕たちの間では常識だった。みなフォックをはずしていた。そんなの常識。それもできないやつはビビりだねって感じ。そこからだ。第一ボタンまで外す?第二ボタンまで。第三ボタン・・・、うーん、これが限界。
 僕はいつもフォックをはずしていた。常識!
 僕は第一ボタンをはずした。そうして第二ボタン。
 僕は第二ボタンまで外して、階段を降りていた。そのとき二人組の先輩の男子に呼び止められた。「ちょっと君」。やばい、生徒会?僕はそう思った。僕はあわてて、階段を駆け下りた。
 その後、集会があった。生徒指導の先生が出られた。
 「最近、学ランのボタンをはずすのがはやってるようだが、おまえら、そんなことして、ほんとのヤンキーに絡まれたらどうするんだ」
 と生徒指導の先生は言われた。
 僕たちはボタンをはめ、フォックをちゃんとしめた。