「はぁ」

ため息を聞きつけて琴美がニヤニヤしながら近づいてきた

「朝から大きなため息なんてついて何か悩み事?」

「なんか楽しそうだね」

「いや、べつに」

といいながらずっとにやけている琴美

いったいどうしたのだろう

「それより……」

「なになに、恋の悩み?いつでも相談にのるわよ」

「……、違うって」

「えー、違うの。つまらない」

あきらかにがっくりした顔の琴美

なにを勘違いしてんだか

「そんなことより、琴美って3歳の頃のこと覚えてる?」

がっくりした顔のまま

「当たり前よ」

「当たり前なの?」

「私の初恋は3歳のときよ。忘れるわけないじゃない。格好よかったのよー園長先生」

「初恋が園長先生?」

「そう、ダンディーなヒゲのオジサマだったから、入園式の日に一目惚れ」

目の中がハートマークになっている琴美

完全に自分の世界

話にならない