子供のころから男の子になりたかった




父もそれを望んでいたから

生まれる前から絶対男の子だと思い込んでいた父

名前も和哉にしようと考えていた

でも、生まれた私は女の子

かなりがっかりしていたと聞いた




父はものすごい野球好き

それは半端じゃないくらい

自分の子供に野球を教え

プロ野球選手にするのが夢だった

自分は怪我をしてプロをあきらめたから

自分の子供にはという思いが強かった




そんな父親に育てられた私も

女の子ながら野球が大好きになった

父が監督をしていたリトルリーグにも参加するようになった

女の子だけど、父の教え方がうまかったのか

私はメキメキと上達し

いつしか四番バッターにまでなった





けれど、六年生になり

私の体に変化が起きた

少女から女性へと変わってきた

それまで普通に接してくれてたチームメイト達から距離をとられ

私は居場所がなくなっていった

悔しかった

このときほど男の子に生まれたかったと思ったことはなかった

私の活躍を喜んでいた父も『女のお前ではこれ以上練習ついていけないだろう』と野球をやめさせた