「千華くん大丈夫?」

「ん、」

ベッドに転んでいる千華くんに話しかけると、少し辛そうな声で答えてくれた。

「ごめんね、ちょっと触るよ」

頭に怪我をしてないか確かめるために少しだけ頭を触らせてもらった。

幸い怪我はなかった。

「良かった、怪我はないみたい。」

それでも千華くんは辛そうだった。

(もしかしたら、体の調子が悪いのかな?)

そう思い、私は千華くんに

「ねぇ、何か私に出来ることないかな?」

と聞いてみた。

「じゃあ、1つだけ」

「うん!なんでも言っ、て」

急に手首を引かれて、気づけば千華くんに押し倒されていた。

「ち、千華くん?どうしたの?」

「…なんでもしてくれるんだよね?」

「私に出来ることなら、」

「じゃあさ、」

頭の整理ができてない中、千華くんはいつもの顔で

「血、分けてくれない?」

と言った。さらに頭が混乱した。

(血って、なに?)

動揺を隠しきれずにいると、

「実はさ…」

千華くんは私に打ち明けてくれた。

「俺、吸血鬼なんだよね、」

「…え?」

“吸血鬼”これは授業で習ったことがある。

フィクションだと思っている吸血鬼は本当に少ないが存在すること。そしてこの世界には吸血鬼を欲情させる血液が存在すること。

「水原さん、お願い。俺、このままだと、やばいんだ」

冷や汗をかいてる私をすごく申し訳なさそうな顔で見つめてくる千華くん。そんな顔見たら断れないじゃん。

「…分かった、でも痛くしないでね」

「ありがとう」

千華くんは小さな声でごめんねと呟いて、私の首筋に噛み付いた。

「いッ…」

少し吸われたなと思ったところで千華くんは驚いたように私を見た。

「千華、くん?どうしたの?」

「本当にごめん。我慢できないかも」

「え?」

千華くんはもう一度首筋に噛み付き、空いた手で私の太ももをさすった。

何が何だか分からない私はただ委ねるしかなかった。

すると、『失礼しまーす!水原さん、千華くん大丈夫ですか?』

体育館にいた女子が何人か入ってきた。

幸いカーテンはしてあったからそこは安心した。

けれど、いつバレるか分からない。どうするか迷ってると、

「答えないとバレるぞ」

と、いつもの千華くんとは打って変わった口調と声で言われ、若干の恐怖を感じた。

「千華くんなら今寝てるよ、!次の授業は出れると思う!」

『そっか!ありがとー』

私がそういうと、みんなは運良く帰ってくれた。

緊張が解け、安心してぐったりすると、千華くんは首筋から口を離して舌なめずりした。

「血、ありがとう。そろそろ戻ろっか」

「うん、」