几帳面に並べられた本棚、そこから数冊を手に取る。窓に目を向けると薄ピンクの花びらは、すでに散り終えて若緑の芽が顔を出している
「これ、で、最後と…。」
あれほど緊張した入学式の代表の言葉も、高校生活上手くやっていけるのかと不安になってた事も、今となってはいい思い出だ
「学級委員なんて断ればよかったかも」
ふぅっと小さくため息をつく
担任に頼まれて図書室の本棚の一角の整理を頼まれた美香は、およそ1時間はかかったであろう仕事に先行きに不安を感じていた。
そもそも担任の先生に、任せられるのは柊しかいないんだと半ば強制的に頼まれた時きちんと断れば済んだ話なのだが、流されやすい性分が災いしてしまい、思わず頷いてしまったのだ。
あの時の事を思い出すと頭が痛くなる。美香はまた1つため息をついた
見上げると、時計の針は4時を指している。
「…。涼ちゃんはもう帰ってるよね」
考えようとしてやめた。今思考が後ろ向きになっているときに考えても余計な事を思ってしまうだけだ。それより、早く帰ろうと美香は鞄を持って小走りで帰っていった