翌朝起きると、昨日の夜に連絡を送っていたメッセージに返事が来ており、確認すると思った通り快く承諾してくれていた。

考えれば考えるほど楽しみで、アイディアが沢山湧いてくる為、鈴音は朝から凄くご機嫌だった。
それに気づかない夕では無い為、起きてきてすぐ

「どうしてそんなにご機嫌なの?」

と耳元で甘く囁かれ、その色香に負けてポロッと言ってしまいそうになるのを必死に抑えて準備を進める。

「そんなことないも〜ん!はい!ご飯食べよっ!」

夕は鈴音が暗い顔をしていると何としてでもその理由を聞き出そうとするが、鈴音が幸せなら俺も幸せと言うのが夕のモットーな為、深くは聞かずにクスクスっと笑うだけだった。

「ん、今日も美味しい。ありがとう。」

ニコッと笑いながらいつもの様に鈴音のご飯を頬張る夕。
ほんとに私の好きな人は何してても絵になるなぁなんて、見蕩れながら早く仕事に行かなければ!と頭を切り替えて体を動かす。

「じゃあ、行ってくるねー!!」

「うん、気をつけてね」

もう恒例となっている行って来ますのキスを済ませて玄関を出る。

会社に行っている最中も、ん〜こうしようか?これはどうだろう?!と、夕の誕生日の事で頭がいっぱいの鈴音。

さすがに仕事中は、他のことを考える余裕は無い為切り替えるものの、油断をすれば頭の中を占領されそうなのて困ったものだ。

夕の誕生日まで残り1週間程となり、LIMEでスペシャルゲスト達と連絡を取りながら順調に準備は進んでいる。
夕の会社は26日か仕事納めと少し早く、休みである事も確認済み。

更に今年は24日25日が土日の為、ニュースでは混雑が予想されると毎日の様に言われている。

?!?!?

鈴音はここでとんでもない事に気がついてしまう。
今日は22日、、、
24日、25日は土日で混雑、、、
今は12月、、、

クリスマス!!!!!!!

そう、鈴音は夕の誕生日でクリスマスの事がすっかり頭から抜けてしまっていた。

今日帰って急いで目処をつけて、明日仕事終わりに買いに行ったら何とか間に合う??
あーーーもーー!!こんな急いで決めたくないのに!!
夕の誕生日プレゼントはもう買ってあるし、誕生日のプランももう完璧。そこは心配しなくていいけど、もーーーやってしまった。

お昼休みにとんでもない事に気づいてしまい、食堂で1人で唸っていると

「お前、、仕事詰めすぎてとうとう頭おかしくなったか、、、?」

ドン引きした様子で赤木さんに声を掛けられる。

「いや、、、ちょっと大変な事に気が付きまして。。。」

すると、赤木さんは顔色を変えて

「なんだ!何したんだお前!どれくらいのミスだそれは!」

「いや、、もうそれは、、、だいぶ、、、」

そう言うと赤木さんの顔からサーっと血の気が引いていき

「大丈夫だ、俺も一緒に謝りに行ってやるから。今は出来ることを考えよう、な?俺も考えてやるから。どんなミスしたか言ってみろ。」

何を勘違いしているのか、何故赤木さんが一緒に謝りに行くのか意味がわからず

「なんで赤木さんが私の彼氏に一緒に謝りに来る事になるんですか?」

そう答えると、赤木さんはドット力が抜けた様で鈴音の前の席に崩れるように座る。

「はぁーー?彼氏の事かよ。焦るわまじで。仕事でなんかミスったんかと思ったわ。やめろよマジで紛らわしい。」

「ええ!すみません。。。」

確かに詳細を伝えていなかった。と反省をして謝る。

「別にいいけどよ。で、何やらかした?」

ここまで来たら相談しろと言わんばかりにご飯を食べながら聞いてくれる赤木さん。

「いや〜それが、彼氏誕生日が12/28なんですけど、私その事で頭いっぱいで、クリスマスが頭から抜けてたんですよね。初めてのクリスマスなのに。」

すると、赤木さんはケッと呆れたように

「別にクリスマスなんてキリスト教でもねーのに大切でも何でもねーだろ。誕生日のが大事だから別にいーだろ。」

あぁ、この人に相談したのが間違いだった。と心の中で思ったものの、それを出さないのはさすが営業のエースである。

「まぁそうですよね〜、できる限りで考えてみます、、」

「ん〜じゃあ午後からも頑張れよ〜」

とカレーを食べながら手を振る赤木さんを後に食べた食器を返却口へと戻し午後の業務に戻る。