朝、というか昼過ぎに目が覚めて、ん〜っと体を伸ばすと、動いたことに反応した夕にぎゅっと抱きしめられる。

夕はまだ眠っている様で、スースーと寝息を立てている。
その寝顔が何とも綺麗で可愛らしい。
起きている時はどちらかと言うと大人っぽくてかっこいい夕だが、寝顔は昔と変わっておらず可愛らしい夕に思わずふふっと笑ってしまう。

「ん〜起きろ〜!!昼だ〜!!」

夕をぎゅうぎゅうと抱きしめながら起こすと、寝起きの悪い夕は

「あと10分、、、」

と眉を顰めてうっとおしそうにしている。
そんな所も昔と変わっておらず、さらに笑ってしまう。
昔も、寝ている夕にちょっかいを掛けてはよくこの顔をされていた。
夕の反応が面白くて嫌がる夕にしつこくコショコショをし続けて起こした時は、ブチ切れて数時間口を聞いてくれなかったこともある。

そんな事を思い出していると、やりたくなってしまうのが鈴音。

「この〜!!起きろ〜!!相手しろ〜!!」

そう言いながら夕の脇腹辺りをくすぐっていると、夕の目が突然クワッと開いたと思うといつの間にか鈴音が下で夕が上になり押し倒されている。

「あ、起きた。」

ていうか、やばい。
朝がてんで弱い夕の寝起きは最悪で、年を取るごとに酷くなっているのだ。
みんなで旅行に行ったりした時も、あっくんがいつも朝は酷い対応を受けて喧嘩を通り越してしょげていたのを思い出す。
あっくんはいつも何をされたか聞いても、もう嫌だー!と、逃げていくのでよっぽど寝起きが悪いのだろう。

何をされるのかとビクビクしていると、夕は鈴音の首元にガブリと噛み付いて痛みが走る。

「っっつ!」

加減はしてくれた様で、ピリッと痛む程度だったがそのすぐ後に、夕の舌がツーっと鈴音の首筋をなぞり思わず声が出てしまう。

「っん//」

すると、クスクスと首元で笑い声が聞こえ

「かわい」

いつの間にか目はぱっちりと開いていて、夕の瞳にやっと鈴音がしっかりと映っている。

「もう!朝から何してんの!///」

恥ずかしくなり夕から距離をとるようにするも、再び夕の胸へと抱き寄せられる。

「ん〜?朝からすずを抱けるなんて幸せだなーって」

「抱けっっ!?」

「なーに想像してんの?」

顔を真っ赤にしている鈴音に涼しい顔をして夕が聞いてくる。しかし、すぐにその表情は心配するようなものへと変わった。

「大丈夫、無理にはしないから。」

鈴音の頭を優しく撫でながらそう言う夕の顔を見て、鈴音が思っている以上に夕は鈴音の事を考えてくれていることを実感して胸がぎゅっとなる。

「大丈夫だよ。夕になら何されても。」

夕の手に擦り付く様にしてそう言うと、何故かはぁーーーー、と長いため息をつかれ、不思議に思っていると

「ほんと、すずには敵わないよ」

困ったようにヘラッと笑って優しくキスをしてくれる夕。
夕の言っている意味がよく分からず、きょとんとしているともう一度キスをされた。