目を覚ますと、まだ夜中のようで外は真っ暗だった。
ふと、隣を見るとスヤスヤと眠る夕。
長いまつ毛に綺麗な鼻、イケメンは寝ていてもイケメンなのか、と眺めながらチョンっと鼻を触ってみると眉を顰める夕がなんとも可愛い。

あんなにも複雑な話を聞いた後でも、鈴音の事を好きだと言ってくれた。
鈴音と一緒に涙を流してくれた。
変に同情の言葉をかけられる訳でも、過度に心配するでもなく、ただただ受け入れて包み込んでくれた夕。

「ありがとね、大好きだよ」

そう口にして、頬にキスをすると寝ていたはずの夕の目がパチッと開かれる。

「え。」

夕はきっと先程の言葉諸共聞いていたのだろう。随分とご機嫌でニコニコとしている。
ほんとわずかな可能性にかけて

「い、いつから起きてたの?」

「んー、すずが俺の事じーっと熱い視線で見てたあたり?」

終わった。

鈴音は何事もなかったかのように、布団を被り

「そっか、おやすみ!」

と眠りにつこうと背を向ける。
しかし、くるりと夕に回転させられたと思うと何故か色気が溢れんばかりに手を絡めてくる夕。

「ねぇ、さっきのもう1回言って?」

じっと視線を逸らすことを許さないような鋭く甘い目で鈴音を見てくる。

「さ、さっきのって??」

分かっているものの、恥ずかしくてわざと分からない振りで誤魔化してみるも

「大好きってやつ」

キスをされた方がいくらかマシなほど近い距離でじっと見つめられて顔がみるみるうちに赤く染まる。

「だ、だいすきだよ、、?」

恥ずかしながらもそう伝えると満足そうな笑みを浮かべて鈴音に優しくキスを落とす。

あー幸せだな〜。

そんな事を思いながら夕の首に手を回す。
すると、触れるだけだったものが深いものへと変わり、酔わされていく。

唇が離れた時には、それを恋しく思うほど息乱れていた鈴音に

「ん、足りない?」

クスっと笑いながら鈴音の手に物欲しそうにキスをする。
夕に話しかけられた事で我に返り

「じゅ、じゅうぶん!!!!!」

と答えるとざんねーん、と揶揄うように夕が言ってきた。

2人で時間を確認すると既に5時を回っていて、空はうっすらと明るくなってきている。
時計を見ると一気に眠たくなり、再び眠りにつくことになったのだが、当たり前のように2人でひとつのベッドを使い、当たり前のように夕の腕に抱かれて寝ることが、夕と恋人同士になった事を実感させる。