扉をノックする音にアリスが返事をすると、クロードはゆっくりと寝室に入って来た。
心なしか顔が赤い気がする。
普段細身に見えるクロードだが、薄手の寝衣で現れた彼はかなり筋肉質であることがわかる。
さすがは騎士様だけあって、とてもよく鍛えているのだろう。
相変わらずの仏頂面だが、美麗で知られるコラール侯爵家の令息だけあって顔も整っている。
彼に対して恋愛感情は全くないが、これならイケるだろうとアリスは思う。
政略結婚ではあるが、やはり嫌悪感を抱くような相手と身体を重ねるのは苦痛であるから。

一方クロードは、ベッドの端に腰掛けていたアリスを見ると一瞬息を飲んだ。
薄手の、透けてしまいそうな寝衣に身を包み、先程まで結い上げていた髪をはらりと落とした姿は、なんだか儚くさえ見える。
しかも昼間と違ってほぼ素顔の彼女は幼くも見え、まだ少女のように見えた。
クロードは瞬時にアリスから目をそらすと、そのまままた扉を開けて戻ってしまおうとした。
そんなクロードを見たアリスは慌てて立ち上がる。