「勝者、クロード!」
またクロードの勝ちが高らかに宣言され、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。

ルイーズ王女がひっそりと北の離宮に送られた数日後、王宮では予定通り武術の御前試合が開催されている。
21歳以下の部の騎馬試合に出場しているクロードは余裕で予選を勝ち上がってきている。
そして今、国王陛下が観覧する本戦に出場し、準決勝で勝ったところだった。

「旦那様…、本当にお強いのね」
アリスは夫の大活躍に興奮し、手に汗握りながら応援していた。
強いとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった。
アリスは騎馬試合自体初めて見るし、(怪我をしたらどうしよう)と心配で昨夜は眠れなかったくらいなのだが、いざ蓋を開けてみればクロードは軽々と勝っている。
甲冑を身に着けながらもしなやかに舞うクロードの剣捌きは、会場の紳士淑女たちの目を釘付けにしていた。
そして今勝って兜を取れば、下から現れた爽やかな美青年に、会場はまたあらゆる熱気をはらんでいる。

手を挙げて周囲の歓呼に応えていたクロードは、その手を下ろすと馬に跨ったままアリスが座る席に近寄ってきた。
「また勝ちましたよ、アリス」
柵越しに微笑みかけるクロードに、アリスも立ち上がって駆け寄る。
「おめでとうございます、旦那様!とても素敵でしたわ!」
「ではご褒美をください」
言うや否や、クロードは手を伸ばしてぐいっとアリスを引き寄せると、彼女の顔の前に自分の頬を寄せた。
その頬に、アリスが恥ずかしそうにしながらキスをする。
すると、周囲からまた一際大きな歓声が上がるのだ。