北の離宮とは名ばかりの要塞に送られることになったルイーズ王女の護衛騎士は、クロードをはじめ全員が解任された。
北の離宮には屈強な騎士や傭兵がたくさんいるため、わざわざ王宮から騎士を送る必要が無いためだ。

国王から沙汰が降りた翌日、クロードは王宮にルイーズ王女を訪ねた。
国王からはきちんとアリスに謝罪させると言われたが、それは断った。
多分ルイーズは反省などしていないだろうから、口先だけの謝罪など聞きたくなかったからだ。
それに、その口先だけの謝罪を利用して今回の事件を有耶無耶にされたりしたら、それこそ嫌だと思ったのだ。
だいたい、今さらアリスにルイーズを会わせて嫌な思いをさせたくもない。
ただ、自分は護衛騎士という側に支えていた者として、王女に最後の挨拶をしようとは思ったのだ。

軟禁されている部屋に案内されて扉の前まで来ると、部屋の中からはルイーズが癇癪を上げる声が漏れ聞こえてきた。
扉を開けて中に足を踏み入れると、ルイーズが周りの侍女たちに当たり散らしている。
彼女はやっぱり相変わらずのようだ。